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記事: The Ethical Spirits & Co. 山口歩夢さん「美味しいに留まらないお酒を」Vol.1

The Ethical Spirits & Co. 山口歩夢さん「美味しいに留まらないお酒を」Vol.1
インタビュー

The Ethical Spirits & Co. 山口歩夢さん「美味しいに留まらないお酒を」Vol.1

基本的には廃棄されてしまうる酒粕をリユースし、新たなクラフトジン「LAST」を製造するエシカル・スピリッツ株式会社。今回は「LAST」の裏側を探るべく、若くして第一線で酒造りに携わるエシカル・スピリッツの代表取締役 醸造責任者の山口歩夢さんにお話を伺ってきました。山口さんのエシカル・スピリッツにかける想いとは―。

─本日は宜しくお願いします。初めに山口さんの自己紹介をお願いします。

山口歩夢と申します。1995年生まれの24歳です。東京農業大学の醸造科学科に在学していました。醸造化学科には日本酒の蔵元のご子息が沢山いて、発酵・醸造系の微生物学を中心に学ぶ、日本でも特殊な学科です。

─かなり専門的に勉強されていたんですね。

はい、後は座学だけではなくて。在学中から、未来酒店でも取り扱っているWAKAZEという日本酒のベンチャー企業に創業初期から関わり、そこで商品開発もしていました。

ある日WAKAZEの社長さんから、「FONIAシリーズ(日本酒の製造過程でボタニカルを加えたお酒)をやりたい!」と提案されました。その時、ジンを通してボタニカルの知識があったので、それを応用して「日本酒にボタニカル入れて絞る」という製法のレシピ監修を行いました。成人してからジンが好きすぎて、日本に輸入されてない海外のジンを買ってきたりして、好きで様々な知識を蓄えていたのが役立ちました(笑)

▲未来日本酒店で取り扱っているWAKAZEの日本酒。右3本が「FONIAシリーズ」です。 

 

他にも、千葉県にあるフルーツブランデーの蒸留所「Mitosaya薬草園蒸留所」の立ち上げの時から関わり、今でもたまにお手伝いをさせてもらっています。

─手広く実践的にお酒に関わる事業をされていたのですね。

今はWAKAZEMitosayaの他にJoin EarthANTCICADAというブランドで昆虫食を作っています。昆虫食に「ゲテモノ」や「高い栄養価」といったレッテルを貼るのではなく、「昆虫のそのものの味」に注目しておいしく食べてもらうための料理や商品を作る活動をしています。焙煎したコオロギを使って作るコオロギビールや、タガメという昆虫のフェロモンが洋ナシの香りであることを活かしたタガメジンなども作っています。

エシカル・スピリッツとはどのようにして出会ったのでしょうか?

今でも実際に蔵人として三軒茶屋で働いているWAKAZEの杜氏さんが、未来酒店の社長の山本さんに僕を紹介してくれました。

山本さん自身は僕と出会う前からジン且つ酒粕を使う「循環経済を実現する蒸留プラットフォーム」という今のエシカル・スピリッツのモデルを構想していたみたいです。話を聞いたときにコンセプトというか、廃棄されている酒粕を使って循環型で生み出した利益を、酒蔵に一部還元するというプロジェクト自体に共感したのが大きいですね。

後は個人的に「粕取り焼酎」という酒粕を蒸留した焼酎に対して魅力と可能性を感じていて、参加する事にしました。

▲粕取り焼酎から造られたエシカル・スピリッツのクラフトジン「LAST」

─粕取り焼酎の魅力と可能性ですか?

粕取り焼酎と一口に言っても、どんな酒粕を使うかによって味がかなり変わります。酒粕ってその日本酒の蔵の特徴をある意味一番色濃く濃縮させた液体ですし、蔵の個性が出るという面白さもあって。

しかも粕取り焼酎は香りが強くて良い香りがあるので、上手くマーケティング・ブランディングすれば世界に羽ばたくことはあり得るなって思っている中でした。

日本のジャパニーズジンも色々出ていますが、ボタニカルに注目するものが多いです。ジンは元々原酒にボタニカルを入れて蒸留したもので、例えばゆずとか山椒といった、いかにも日本らしいものを入れて日本らしさを出す事が多くて。原酒の方で日本らしさを出すというものはあまり多くはありません。

そんな中で、ボタニカルではなくて原酒の方で日本らしさを出せたらジャパニーズジンとして最高に面白いし、ジンの商売を立ち上げるとしたら粕取り焼酎を使いたいという思いがありました。今回のエシカル・スピリッツの話がなかったとしても、です。そこに山本さんからお話をいただいて、コンセプトにも味にも共感して参加させていただいたという話です。

エシカル・スピリッツではどのような立場ですか?

会社上の立場で言うと共同代表なのですが、担当で言うとお酒を作る人です。日本酒の蔵で言うと杜氏にあたると思います。レシピを作って実際に蔵に行って。もちろん機械操作などはは蔵の人にやってもらのですが、最終的な判断をしているという感じですね。

─業界ではかなり若いのではないでしょうか?

多分この手の蒸留の長でいうと最年少に近いと思います。24はあまり聞いたことないので。

在学中から専門的に醸造を学ぶと共に、いくつもの事業の立ち上げに携わり、実践的な経験を積み上げてきた山口歩夢さん。彼が酒粕に感じる魅力・可能性と「循環経済を実現する蒸留プラットフォーム」というエシカル・スピリッツのコンセプトが合わさることで、このプロジェクトが動き出したのだと分かりました。次回は、エシカル・スピリッツのコンセプトと味へのこだわりについて掘り下げていきます。

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