藤井酒造 藤井大貴様part3

image

トピックスでは、お酒のセレクトショップ未来日本酒店で取り扱っているお酒の作り手の方々へのインタビューを通して、お酒の味だけでなくその背後にあるストーリーと想いも皆さまにお届けいたします。
2016年第一回目の更新となる今回も、藤井酒造 藤井様にお話しをお伺いしています。前回、藤井酒造のお酒の話を存分にお伺いしたので、今回は藤井様ご本人について迫っていきます。


ライバルは去年の自分
オンリーワンを目指すために


-次に、人と酒の面でそれぞれライバルはいますか?


ライバルでいうと、正直な話、ライバルとして意識をしてる人はいないです。ライバルって思えるほど僕は日本酒業界が長くないので、今はいろんな人の話を聞いて良い所を吸収したい。
まあ同性代の蔵元とかに負けないくらいやっていきたいという意味では、同世代の蔵元はライバルかもしれない。で、酒質に関しては、もっと無いです。


-孤高の存在ということでしょうか?


孤高というか、ライバルとして同じ酒質を目指すと結局うちの持ってる個性ってなくなっちゃうので、しいて言えば去年造ったお酒がライバル。それだけうちの中でもオンリーワンでありたいって気持ちが強い。
ただ、経営とかブランディングやマーケティングって言う部分の話で言うと、やっぱり獺祭・新政・十四代・黒龍とかっていう誰しもが知っている蔵。昔ながらでなく、ここ十数年でここまで知名度が上がった酒蔵の経営方法とかマーケティング方法って言うのはすごい意識はしていますね。


-なるほど。味というよりは突き抜け方としての個性やストーリー作りですね。


似たようなものは作りたくないですけど、やっぱり阿部さんもおっしゃってたけど、ワインのブランディングってすごいなっていつも思ってます。味って言う部分で一番上を目指すって言うのはどこの蔵でもやってる。そこから先に力入れてるところってほんとに無くて、やっててパッケージングまでだと思います。そこから先のストーリーだとか、お酒をのむ人の人生においてかけがえのない思い出になるような所まで出来ているかっていうとそうでもなくて。
極論言うと、すごいお世話になった人が食事に呼んでくれてその時出してくれたワインがロマネコンティだったら一生忘れないと思うんですよ。美味しかろうがそうじゃなかろうが。それだけワインってひとつの人生経験として語れるくらいまでのブランディングを構築で来ている。
一方で、一本十数万って日本酒を取引先に飲ませたとして、味がめっちゃおいしかったら別ですけど、ブランド名を覚えていられるかって言うと微妙。翌日違う酒を飲んだら、もうぼやけちゃうとおもう。


-なるほど。今後のPRの方向性として、こういう所の露出は強化していくみたいなウェイトみたいなものはあられますか?


それでいうと一番の優先順位でいうと、今までやったことの無い部分が一番の優先順位
やったことのないことをやらせてもらえるってすごく有難いし、良くも悪くも学びになる。なので新しいことには積極的に取り組んでいきたい。


-年齢や世代など、客層については何かあったりしますか?


まあ、ビジネスライクに考えた場合では飲んで欲しいのは女性、かつあまり若すぎない30代くらいの女性、ですね。


家族の想いがこめられた日本酒


-さっきと微妙に重複するかもしれないんですけど、藤井さんにとって父親って言うのはどういう存在ですか?


良きパートナーであり、良くも悪くも自分を映し出す鏡のような存在なのかなあって最近は思うんですね。すごい似てるっていわれるんですよ、顔とかじゃなくて、軽いところとか(笑)。


-いやいや(笑)。


長い付き合いのある酒販店さんとかから言われるんです。だから、自分から見てすごいなってところはマネをしたり、自分がみて、ん?って思う所は自分もやってるかもしれないから、直す。そういう意味だと、道しるべみたいな存在かもしれないですね。
昔は会話がなかったのに対して、今人生で一番会話してます。子供のころは父がいなかったていうのもあったりとか、思春期なんてすごい反抗期だったので。今初めてお互い向き合って話ができる環境にはなってきていますね。


-そうなのですね。藤井さんは物心ついて以降はどういう家族構成だったんですか?


そうですね、じいちゃん・ばあちゃんも含めて3世帯で、酒造りもあるので叔父二人、も近くに住んでいて、そういう大家族みたいな感じでしたね。一番家族の中でも会話していたのは母親。だから感性が一番似てるのもあるのか、パッケージングについてとかよく相談します。


-デザインは従兄弟の岩原由佳さんがやってるんですよね?
これはどういうきっかけがあったんですか?


デザインはやりたかったんですけど伝手がなくて、それで岩原にちょっとこういうのやってみたいんだけどって相談して、そこでまあ一緒にやって話をしていく中で、この人たちのセンスって好きだなあって思って。そこから一緒に仕事しています。ミラクルデラックスは今うちの顧問デザイナーなんです。
ミラクルデラックス::従兄弟の岩原由佳さんが活動するデザインチーム


-それはいいですね。家族って共通項はあっても、別々に活躍してる人たちが集まってやっているって言うのはファミリーだけど新しいですね。


そうですね、ファミリーでやってるんですけど、ミラクルデラックスの馬場さんとかはミラクルデラックスをきっかけに知り合っているので、いい意味でファミリー間の親近感はありつつ、線引きもできています


-パリッとシャキッとしながらの家族関係ですね、そういう意味だとファミリーでもいいんですよね。各々の役割としてこういうものを出していこうって言うのがある上での家族経営だといいんですよね。


そうですね、家族であろうと経営体制がしっかりしていれば、公私はしっかり分けられると思います。




次回で藤井様へのインタビュー最終回となりますが、ワイナリーの訪問で感じたことについて・日本酒業界の今後についてお話しをお伺いします。

関連商品