藤井酒造 藤井大貴様part2

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トピックスでは、お酒のセレクトショップ未来日本酒店で取り扱っているお酒の作り手の方々へのインタビューを通して、お酒の味だけでなくその背後にあるストーリーと想いも皆さまにお届けいたします。
今回も前回に引き続き広島県 藤井酒造の藤井様をご紹介いたします。本日は藤井酒造で造るお酒について、蔵元の藤井様直々に特徴・おいしい飲み方をお伺いしました。


先頭打者 4番バッター
藤井酒造を代表する日本酒の数々


-それでは、藤井酒造さんで造られるお酒の話をお伺いしていきます。
「龍勢」には白があったりゴールドやブラックがあったり、あとは「夜の帝王」があって…それぞれに当然ながらストーリーと個性があると思いますけど、それぞれて一言ずつ、改めてお聞きかせください。


根本的な話をすると、うちの酒質設計の部分で僕の中ではまだまだできてないなって思うところもあります。軸は守りつつも、夜の帝王はどういう味わいにする、白ラベルはどういうものにするっていうポジショニングや酒質の設計を蔵人も含め全員でこれから作っていかなきゃいけないなあって言うのは前提としてありますので、その辺りは含み置きして頂きたい。

その上で、ですが、夜の帝王は価格的にもお手軽。お手軽な商品って言うのは気取ってちゃいけない。うちのお酒というか日本酒全体、田舎に帰った時に、お母さんが作ってくれるお味噌汁みたいな感じで、気取らず、日ごろちょっと疲れたときなんかに、気の知れた友人たちと楽しく飲むときとかに使ってほしい。日常的に使えるようなお酒であってほしい。


-なるほど。食と合わせるという観点だと、夜の帝王にはどういうイメージがありますか?


それでいうと夜の帝王に関しては食材もあまりこれって選んじゃいけないんですよ。ある程度全ての食材に合う酒を目指さなければいけない。


-イチローみたいな、どんなシーンでもヒットを打てる。


そうそう。夜の帝王に関して言うと色んな温度帯で飲めるので、そういう使い分けはできるかもしれないですね。色んな使い方ができる。


-まさに一番バッターだということですね。走れて打てて守れて。


そうですね(笑)。そしてそれが一番難しいと思います。
すごい原料に拘って、技術とかを終結させて手間をかけて作ったお酒って、ある程度のレベルにはできるんですよ。でも夜の帝王レベルのお酒ってそこまで手をかけて出来るかって言われたらそうでもない。だけど、一番飲まれているお酒って何かって言うと夜の帝王なんですよ。だからこそ一番難しいし、もっともっとブラッシュアップをしていかなきゃいけないし、そういうのが大事な所だと僕は思う。


-いいですね、とても熱いお話です。
ではその次は龍勢白ラベルをお願いします。


そうですね、白ラベルでいうと、これはちょっと気取っています。
白ラベルはうちのお酒の中の位置づけで言うと、日本酒自体あまり詳しくない方やあまり飲んでこなかった方でも飲みやすいお酒。まあ一般的に言われる飲みやすいお酒と較べるとうちのお酒は飲みにくいんですけど(笑) 。まあ味はしっかり。
うちの作りのコンセプトで言うと二つあって、自然に作るっていう自然醸造って言う部分と、後は完全発酵ってところですね。液体中の糖分が全て無くなるまで、酵母が元気な部分までアルコールを発酵させ続けるというのがコンセプトになってて、すべてのお酒に共通してやっています。
なので、うちのお酒は全部辛口です。その上で、白ラベルに関しては辛口ながらもフルーティさや軽快な感じがする。他の藤井酒造のお酒と較べるとライトボディなタイプのお酒になっていますね。合う料理でいうと白身魚とかお刺身だとか味の淡白なお料理がすごいマッチするお酒。
野球で例えると、期待を裏切らないって意味だと4番じゃないですかね。


-白は4番なんですね。本格派でありながら、道が広いって言う、そういうことですね。出る数でいうと白はやはり多いんですか?


白はまだこれからですね。先代の好みで言うと、白は一番好みじゃなくって、でも社員に聞くと一番は白なんですよ。
前回の組織の話と繋がってくるかもしれないですけど、うちが特にそうなのかもしれませんが、蔵元の好きなお酒と一般の人が好きなお酒って言ったところの格差があるんです。それは別にあっていいと思うんですけど、伝え方だとか、商品の説明の中でも、歩み寄るなら歩み寄る工夫をしなくてはいけない。そこの部分がまだまだできていない。
それでいうと白は先代の中では好きなお酒でないので量自体も少ないし、積極的に進めてこなかったって部分もあるけど、これから増えてきますよ。


-白ラベルはパルワゴンでも出していただいて本当にありがとうございました。とても好評でした。確かに相対的に飲みやすくはあると思いますが、龍勢らしさってありますよね。
※パルワゴン:2015年10月に開催された、パルコが打ち出した日本の新しい秋祭りイベント。ミライシュハンが日本酒部門をプロデュース。


もちろんです。それが僕の中でのブランディングなんです。 どの酒飲んでも、藤井酒造だって分かる。そこは絶対ずらしちゃいけない。


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-1番と4番が出て、次は…


次は、黒かな。
黒で言うとあれはもうほんとうにある意味でホームランを四番よりも打つ、3番バッター。


-昔のジャイアンツの3番松井4番清原みたいな感じですね(笑)。


黒と白を目隠しして一般のお客さんに出した時に、白の方を大吟醸って言う人が多いくらい、黒ラベルって大吟醸の中では異質な存在。
だけれども、裏を返せば、市場の中にあれだけボディのしっかりした大吟醸はほとんど存在しない。かといってすごくマニアックな方向でいるかというと、一般にも受けやすいような香りもありますし、甘味も感じられる味わいになっております。


-食事に合わせるとすると?


あれは、ステーキだとかすき焼き。


-すごいですね、重みがある。一般的な大吟醸はその辺りの料理とは戦えないですもんね。


はい。一般的な大吟醸で言うと僕はフルーツと合わせるのが好きなんですけど、うちの大吟醸とフルーツを合わせると全然美味しくない(笑)。


-黒ラベルはあっためてもおいしいですよね。そこは一般的な大吟醸で言うと、温度に耐えられない物も多いと思うのでそこも違いますね。


そうですね。


-どんどん強くなっていきますね。次はゴールドですね。


黒より上のお酒として、ゴールド、別格、善七っていうのが三種類あるんですけど、それらを全て生もとで造っています。そこが一番の特長ですね。そして、うちのお酒を語る中で一番伝えたい部分って言うのは、その3つの商品。
というのも、生もとの作り方っていうのは、蔵についてる微生物を使って造っている。僕は、日本酒のテロワールっていうのはまさにそこにあると思う。日本酒は米に酵母がついてるんじゃなくて、蔵に酵母がついてるんですよ。蔵ごとに全く違う微生物がついてて、同じ生もとで、同じ工程で造っても全然違う味わいになるんです。だから僕は生もとっていう、うちの造りを大事にしたい。

で、味わいとしては、香りはそんなに華やかな感じじゃないです。でも、生もとならではの、人工培養した酵母では絶対に出せない奥行と味わい深さがあります。香りにしても特徴的です。


-僕、ここ1週間くらい晩酌はゴールドなんですよ。温かい出汁の効いた鍋なんかとは相性バッチリですよね。


黒とゴールドって米が一緒なんですよ。違いは作りでしかないんですけど。黒はある意味で、生もとと較べるとすごいわかりやすい。うちでよく言うのは、黒ラベルは化粧したお酒。見た目を見て、バランスが良くてすごくきれいなお酒。
生もとのお酒はすっぴんの女性じゃないですけど、なんかこう見た目は派手じゃないんですけど、素が綺麗なお酒って感じです(笑)。


-なるほど。今日はドキドキしながら帰ってゴールド堪能してみたいと思います(笑)。


そういう意味でゴールドは野球の世界で言うと5番バッター。足も遅いけど、打つときは場外ホームランみたいな。


-ちなみに、食事の方向性でいうとゴールドは黒寄りなんですか?


黒よりも懐が深いですね。生もとの特長って、味が多いんですよ。
液体の中に色んな味が入ってて、すごい凝ったフランス料理みたいな、色んな味が調和したお料理との相性は抜群ですね。


-幅広い楽しみ方が出来るのですね。

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