トピックスでは、お酒のセレクトショップ未来日本酒店で取り扱っているお酒の作り手の方々へのインタビューを通して、お酒の味だけでなくその背後にあるストーリーと想いも皆さまにお届けいたします。
前回に引き続き、群馬県の清水屋酒造の渡辺様にお話をお伺いします。今回のテーマは「日本酒のブランディング」。これからの日本酒が参考にすべきものとは何でしょうか。渡辺様とのお話を通して明らかにしていきます。
日本酒のブランド作りのこれから
-前回の岐阜のお話が面白かったのですが、当時出会った美味しい酒や、その後お仕事をされる中で多くのお酒に触れられて来たと思います。あまり昔からある酒蔵はご覧になっていないようですが、グローバルのお酒も含めて、ベンチマークだったり、ライバル視したり、リスペクトしているお酒とか蔵というような存在はありますか?
やはりシャンパンやモルトの世界観にはすごく憧れがありますねむしろ清酒業界は見ていないです。シャンパンやモルトはPRやブランディング等1つ挙げても、日本企業の2つ3つと上を行っています。
-それらに共通して存在する原点というと、ヴィンテージの概念ですよね。
ユーモアもありスタイリッシュですね。
日本の物は真面目と言いますか、ユーモアが足りないように感じます。社内でもそこをどうにかアウトプット出来ないかと考えています。以前シャンパン会社にいた時におこなっていたプロモーションが素敵でした。ストーリーやキャラクター、ノベルティがありました。名刺入れやネクタイなど、遊び心を感じましたね。日本ではオリジナルの酒器や法被・前掛けはありますが、やはりその程度です。
そこにインスパイアしているところはありますし、それを噛み砕いて、弊社の実現できる形にしようと考えています。コストはかかりますが、妥協はしたくないですし、まだ発信は出来ておりませんが、構想はできております。
日本酒はシャンパンから学べ
-営業とは別に、見識を広げたり、コミュニケーションをとって最先端のPRやブランディングの勉強をしたりするために、出張でシャンパンを製造しているような地方に行かれることはありますか?
それはまだこれからですね。シャンパン会社の研修で行く予定だったのですが、僕が入社した年から研修が廃止になり、すごく楽しみにしていたので残念でした。だから、海外に輸出してその国に行こうと思います(笑)。
-なるほど、スコットランドとフランスにガンガン輸出して(笑)。
そうですね、輸出してその地のお酒を楽しみたいです(笑)。
-いいですね。日本でもイチローズモルトなどは海外に輸出していますよね。本坊酒造は焼酎とウイスキーと両方やっていますし。
そうですね、雑誌に載っていましたね。
-先日ウイスキーフェスティバルに行って来たんですが、ほとんどが国内の大手企業のものと、海外のウイスキーメーカーの展示が中心になってしまっていました。
もっと色々出品されたら楽しいですね。
-そうですよね。大手のものは何十回と飲んでるわけで、今日しか飲めないのを色々飲みたいと思って行ったんですけど、本坊酒造とかはすぐに売り切れていましたね。
でしょうね。
-原料の産地にもこだわるとうかがっていますが、テロワールみたいなイメージがかなり強くなってきますよね。
はい。色んな方のお話を聞きますと、群馬では一部でしか酒造好適米を作っていないようです。
館林は非常に熱いところなので不向きで、多くは加工米を作っているようです。ただ方法が無いわけではないです。そういったところにチャレンジしたいですね。できないと言われたものができたときの奇跡というのは、すごく面白いです。
-ストーリーが出来ているのだったら、コストが倍かかるなら上代も二倍にしちゃえばいいんですよね。
そうです、それだけの話なので、うちはブランディングも含めて、そこに集約しています。
次回は「榮万寿」についてお伺いします。
※本写真は社員蔵人の渋谷一平様です。当蔵は社長の清水様の方針で、社長個人ではなく、社員の方をフィーチャーした広報活動をしていらっしゃいます。