トピックスでは、お酒のセレクトショップ未来日本酒店で取り扱っているお酒の作り手の方々へのインタビューを通して、お酒の味だけでなくその背後にあるストーリーと想いも皆さまにお届けいたします。
今回からは、群馬県の清水屋酒造の渡辺様にお話をお伺いします。日本酒業界のこれから、社長直々による商品の紹介等、今回も情報が盛りだくさんです。第1回目の本日は、渡辺様が日本酒業界に入るまでの経歴を振り返っていきます。
進学・IT・シャンパン
独特な経歴から辿る日本酒への挑戦の伏線
-現在は経営者兼杜氏としてご活躍されていらっしゃいますが、そもそも清水屋酒造を再興する前はどういうキャリアを歩んでいらっしゃったのでしょうか。
もともとは酒蔵を継ぐつもりは全くありませんでした。バイクや自動車に興味があり、当初はエンジニアになりたかったので、理系の学校に進学しました。
-理系だったのですね。
はい、理系を専攻して、大学に進学しました。
最初は日本酒を美味しいと思ったことがなかったのですが、学生時代に小京都と呼ばれる飛騨高山に行き、初めて日本酒が美味しいと思える貴重な経験をしました。
そこから少しずつお酒造りに興味を持ち、自ら美味しいお酒が造れたらかっこいいのではと言う感情が芽生え、お酒造りをゼロから始めようと固く決意しました。大学卒業後は酒販会社やシャンパン会社に勤め、ロジスティックやブランディング等を学ぼうと考え、少し遠回りもしましたが、29歳まで社会で勉強をしました。
-なるほど、学生の頃には、継ぐという決心はされていたんですね。勉強するという意味合いで、最初は酒販会社に就職されたということでしょうか?
そうですね、業務用の酒販会社に就職しました。
-そこから、シャンパンとかをやってらっしゃる所に入られたんですか?
いえ、次はインターネットの会社に転職しました。。
-ITだったのですね。インターネット関係と言っても色々あると思いますが、具体的には何をされていたのですか?
ソリューションですね。自社ECサイトの開設・運営システムを販売しており、関東エリアをメインに営業をしていました。
ITと日本酒の化学反応
-今のECも、その時の経験が生きているんでしょうか? 清水屋酒造さんのWEBページは相当洗練されていますものね。
そうですね、前職の先輩に構築して頂きました。皆さんには本当に親切にして頂きました。構成についても、ニュアンスをお伝えして、後はほとんどお任せしております。一方、ビジュアルアイデンティティの管理などは、別のデザイナーやカメラマンの方にお願いしています。
-酒造りの中身以外でも、ブランディングを含めてチーム体制が確立しているんですね。
そうですね、ご縁があって、デザイナーやカメラマンの方も含めて、顔合わせをしています。商品の撮影時には皆さんに来ていただいて、色々とブラッシュアップしています。
-なるほど、ありがとうございます。まさかITをやっていらしたとは思いませんでした。我々もSix Star Sake Brands等Webサイトで事業をやっていますが、サイト運営の裏側の部分で使うIT関連サービスの力は本当に大きいですよね。
先ほど仕組みと仰いましたけど、ITは仕組みの商売の最たるものでしょう。
動きも早いですし、変化も大きいですね。ITのスピード感や物事に対するコスト感覚は清酒業界にも生かせます。廃業されてしまった酒蔵さんのお話を聞きますと、多くは家族経営でどんぶり勘定、赤字だという状況です。そんな悲しいことはないです。しっかり可視化して、データで管理するという当たり前のことができてない部分もあるのではと考えました。
だから、僕にとってはすごくチャンスがあると感じました。シャンパン会社に転職した理由として、清酒業界へ参入するにあたり弊社は新参者になりますので、折角なら和食業態以外の新規のお客様も増やしたいという思いがあり、シャンパンやワインをお取扱うお客様も対象にして、積極的に営業活動をしています。。
-なるほど、そちらでは営業をしていらしたんですね。
シャンパン会社ではセールスプロモーターとして営業をしていました。主に都内の酒販店さんを担当させていただいたので、そのお取引先の飲食店さんへ営業していました。前職で担当させていただいたご縁で、現在お取引させていただいている酒販店さんも何社かありますし、増えております。
-すごい、全部が伏線になっているんですね。
伏線としてセットにしているので、同業者にはまねできないと思います。前職があり、かつ前職の会社が解散してしまったという普通にはない貴重な経験をさせていただきました。
-それで、29歳の頃に滝野川に研修へ行って、30歳で酒造を始められたのですね。
※滝野川:東京都滝野川にある酒類総合研究所。日本酒の学校として、日本酒の知識の提供等の支援を行っていた。
そうです。
※本写真は社員蔵人の渋谷一平様です。当蔵は社長の清水様の方針で、社長個人ではなく、社員の方をフィーチャーした広報活動をしていらっしゃいます。