トピックスでは、お酒のセレクトショップ未来日本酒店で取り扱っているお酒の作り手の方々へのインタビューを通して、お酒の味だけでなくその背後にあるストーリーと想いも皆さまにお届けいたします。
前回に引き続き、石川県の数馬酒造の数馬様にお話をお伺いしました。
第三回の今回は、数馬様が学生たちと合同で行ったプロジェクト「N-project」について、その概要や商品の特徴をお話ししていただきます。
学生が一から日本酒を作ったら面白い!
N-projectのきっかけ
-では商品を取り上げさせていただこうと思います。まずはN-projectのスタート商品である「Chikuha N」。この商品のきっかけはどういったところだったのでしょうか?
印刷物お願いしている担当者の方が、同じ年齢の社長がいるので一回ご紹介しますよって言ってくださったんですね。その時、紹介されたのが、AUMA NO HIROBAってところの仁志出社長でした。彼は、学生と企業とを絡めていろんなプロジェクトを回してたんですけど、なんか一緒にできたらいいねって話をした中で、学生がお酒を作ったら面白いねって企画が持ち上がりまして。でもお酒作りだけじゃ物足りない、田んぼで米ができるところから全部学生がやってみたらもっと面白いっていう話になったんですよ。そこから、農家の裏社長に話したらじゃあやってみようかと。もともと裏社長と、能登半島の耕作放棄地を耕すという動きはやっていたのでそれを協力してもらう意味でもいいんじゃないかと。

-それが2013年のことですね。今このお酒は2年目になるのですか?
はい、2年目です。
-2014年の夏から2015年の最初にかけて1発目の商品が出来上がり、今、2発目を出しているというところなんですね。
はい。
-1年目と2年目では体制は変わっていないのですか?
基本的には変わってないですけど、1年目はまだまだ手探りの部分が多かったので、サポートのメンバーを置いた体制だったんですけど、1年間回してどういう感じかっていうのはつかめたんで、2年目からは助言とかアドバイスは頂きますけど、がっつりサポーターとして関わってもらうのはなしにしてって感じですね
-学生たちはサークル活動として参加されているのですか?
いえ、任意です。
-任意なのですね。
任意の団体で、サークルでも学生団体でも無いですね。2年目の今季は、学生が自分の知り合いに声かけたり、活動がフォーカスされていろんな人から問い合わせがあっていろんな人から入りたいっていうのがきて、それでメンバーが構成されてますね。
-今メンバーは何人ほどいらっしゃるのですか?
今17人ですね。
-多いですね。
結構多いですね。で来年も代替わりも含めて同じくらいの人がいるみたいなんで
-基本的には石川の学生だけなのですか?
一年目は県外の方もいらっしゃったんですけど、今年は石川県だけですね。ま、中心は石川県の学生ですかね。
-今、ちょうど1期が終わったといいますか、作り終えたところということですよね。
あとは披露会というか、お披露目をして一段落ですかね。で、次のリーダーがいるのでそちらに。
-脈々と、受け継がれていくと。
そうですね。一応補助金とって2年事業でする予定だったんですけど、学生からの継続してやりたいっていう意思表示もありましたし、僕らも続けたいっていうのが一致したので、3年目は、自分たちの力でやってこうって感じで
-N-projectで使用しているタンクは、一本ですか?
一本分くらいですね。750mlで3000本くらいなんで。一本ぐらいを仕込んで1000本は生酒にして、この前発売して、今は完売です。
-流石です。
いえいえ、ありがたいことです。
-生酒と火入れと量は半々くらいですか?
1000本と2000本です。生酒が1000本で、火入れが2000本で。
-これから火入れをやっていくと。
そうですね、火入れの商品を出していきます。
チョコにも合う
お米の甘みと飲みごたえ

-では、そのN-projectのお酒の味わいについて伺いたいのですが、N-project以外の今年の数馬酒造様のお酒を一言二言で表現した上で、N-projectのお酒の違いや特徴を教えていただけますか?
今年うちのお酒については全体的に綺麗なお酒になってまして。中でもN-projectは一番口に含んだ時の甘みが強いタイプですね。
-原料は、基本的には地元の五百万石ですか?
そうです。裏社長が作った五百万石で、60%精米ですね。
-じゃあ吟醸酒と。
特別純米で出荷してます。あまりスペックで勝負するもんじゃないっていうところがあるので。
-合う料理はありますか?
学生はチョコに合うって言ってましたね。
-なるほど。
なんか、バレンタインの時期なんで。あれですけど
-チョコに合うということは、どっしりとした味なのですね。一般的にはチョコは、ウイスキーあるいは赤ワインのような割りと強めのお酒に合うといいますよね。
はい、生酒ので結構、お米の甘みがあって飲みごたえはあると思います。チョコ以外だと、柑橘系のお菓子ですかね。苦味があって、柑橘系の香りがあるようなお菓子です。
-オレンジピールなどということですか?
そんな感じのだと思います。利酒師の上の酒匠の方がそういう評価をされていて。
-では食中酒という感じではないのですかね。
いえ、食中酒でもいけますよ。そのまま飲んでいただいても全然大丈夫ですし、学生はロックも勧めてました。
-数馬様が好きな合わせ方はありますか?
僕はチーズですね。ブルーチーズとドライフルーツ一緒に食べて、飲んでって感じですかね。
-よく飲まれるんですか?
そうでもないですよ。一日2合飲まないですね。
-とても健康的ですね。
飲む日も飲まない日もありますけど。飲んでも、あんまり飲まないですね
-蔵元さんと飲む会などにおじゃますると、リミッターかけない方は飲み続けるというイメージがありましたが、そういうわけではないのですね。
強くないんですよ、そもそも。あと酔うとうるさくなるっていうのを把握しているので。
-激しい感じですか笑。
そんなめちゃくちゃな感じにはならないですが、そうならないようにっていうのはあります笑。体調含めてあまりいい状態で次の日を迎えられないような感じなので。
-なるほど。ありがとうございます。料理だと何が合うんでしょうか?
去年はエビピラフとか。海鮮系がある、お米の味のするもの、ですね。
-なるほど。
結構お米の甘みがあるのと、うちが港の目の前の蔵ですので、シーフード系には合うので。
-なるほど。面白いですね。港は宇出津港ですか?
はい、目の前です。
-宇出津港って何が有名なのですか?
色々ありますけど、寒ブリとかが結構有名ですね。ブリ祭りとかありますから。ブリと新酒は合いますよ。脂がのっている、ちゃんと味もありますし、すっきり切れるやつが、合うんですね。
-味が薄いお酒だと、本当にいいブリの油は切れないですものね。
はい。結構脂がのってるブリなので。
-それと戦えるわけですね。あれは氷見の寒ブリと漁場は同じでしたよね。
はい、だから同じような品質だと思います。ただ、ブランド力は、氷見のほうがすごいです。
-じゃあお買い得と。
そうですね。
最終回は、これからの蔵の方向性について伺います。