
一宮酒造 浅野理可様 part2

トピックスでは、お酒のセレクトショップ未来日本酒店で取り扱っているお酒の作り手の方々へのインタビューを通して、お酒の味だけでなくその背後にあるストーリーと想いも皆さまにお届けいたします。
前回に引き続き、島根県一宮酒造の浅野理可様にお話しを伺いました。
第二回は、女性蔵人として浅野様が感じてきたことや、今後の展望についてお伺いします。
“蔵人”として、“女性”として出来ること
-今商品がいくつかあるなかで、3つくらい代表的な銘柄を挙げてもらって「これはこういう時に飲んでもらいたいお酒です」みたいなのがあれば教えていただきたいのですが。
一番良く出る「石見銀山 特別純米」が定番かなと思います。いわゆる飲みやすいタイプというよりは、味のしっかりしたタイプのお酒で、お料理と一緒に召し上がっていただきたいですね。
次にわりと上品なのは純米吟醸ですね。今年は出来が良かったです。華やかだけどお米の味はしっかりあるので、「ちょっとお土産に持っていきたい」という方にはこちらをおすすめしています。料理と併せていただいてももちろんいいのですが、やはり特別純米と比べても香りがあり、綺麗なのでお酒の味があまり分からないっていうのはあります。
後は『特別本醸造』がお冷にしてもするする飲めるタイプです。燗酒にしていただいて普段飲む分にもいいかと。万能なお酒だと思います。
-ありがとうございます。純米大吟醸のお話と、「薔薇姫」についてもイメージや飲むシーンについて話していただけると嬉しいです。
純米大吟醸は今年特にどっしりしたお酒になったので、あのお酒を単体で出すことは最初考えてなかったです。品評会に出して上位に入るようなお酒ではなくて、良く言えば味があってしっかり旨味を感じられるのですが、悪く言えば重たくて、一般的な大吟醸とは違うかなと。特に純米大吟醸に関しては。
-ということは純米大吟醸だけど、食前というよりはお肉や脂身の多い魚と合わせたらより戦えるかなと。
そうですね。薔薇姫に関してはつくり方自体がちょっと違います。もともと原酒が8~9度くらいなんですけど、もろみの日数自体も他のお酒に比べてすごく短く済みます。酸味がすごく強くて、だけど甘みもある。そのバランスを高いところでとっていて、ジュースのようなというか、本当に飲みやすいです。
そのお酒に薔薇姫の場合は薔薇の花弁を漬け込んで色と香りを出しているんですけど、その薔薇を入れていないそのままのお酒も出しているんです。『天使のキッス』というんですけど、それを基にして薔薇の場合は花びらを使って漬けています。
-ありがとうございます。比較的蔵は男性の職場であることが多いと思うのですが、自身が女性であることに関して、造りとかPRにおいて意識したりとか、女性ならではのこういう動きをしたいというのはありますか?
正直この世界に入るまで、女なのにこの世界に入るのがどうのこうのって言われるとは全く思ってなかったです。実際に入って造りもするようになったので余計そうなのかもしれないですけど、「女性なのにこの世界に入ったのね」って言われることが多々あってから、そういうものなのかなって気付いた程で、入るまでは特に女性であることに違和感というか、意識はしませんでしたね。ただ単純に酒蔵の跡継ぎくらいのイメージでした。 今は女性の蔵人さんのコミュニティっていうのに参加させてもらっていて、すごく感じるのは細かいところまで情報の共有をされていることです。自分の蔵の細かいところまで打ち明けて情報交換したり、SNSを使った発信なんかもすごくしていて、そこは男性の方と比べても圧倒的に多いですね。言葉で人の心をキャッチするのが女性は上手だなと思います。私もそう出来るようになったらいいなと思います。
-「お客さんの気持ちが分かる」というのは、自分に近いか近くないかというのがあると思うのですが、男女差とかじゃなくて、女性の立場としてはこういうものがあったらいいのに、今まで男目線で造ってきているからないな、というのは商品軸でありますか?男女基本的には変わらないというのも1つの答えだとは思いますが、そういう面で何か思うことはありますか?
そうですね…。今スパークリングが流行っていて、色々な種類があると思います。うちはさきほど言った薔薇姫に関してもそうなんですけど、私の考えというよりは社長の考えで、ずいぶん前からスパークリングとか低アルコールで飲みやすいお酒に力を入れていたんです。私が蔵に戻って3年で、良く「あなたが考えたの?」って言われるんですけど、私が入ったころにはほとんどもうあったんですよ。
-そうだったんですか。私も薔薇姫は戻られてから造ったのかと思ってました。
よく言われます。社長はそういう新規の顧客を得たいというのがあって、男性だから余計になのかもしれないですけど、女性の方にお酒を飲んでもらいたいという思いが凄く強い。私は普通に日本酒が好きだったので、あんまりその辺は考えてなかったんです。「普通のお酒でいいじゃないか」って。
でも実際にそういうお酒があるからこそ新しい繋がりが出来たお客さんがたくさんいらっしゃいます。普段お酒を飲まない方でも「これだったら飲める」っていうのを聞くと、こういう形で日本酒に興味を持ってくれる人もいるんだっていうのを実感した部分もこれまであったので。日本酒を好きな方だけでなく、そういう方たちにも導入になるようなお酒をこれから色々考えていきたいなとは思います。
“蔵人”として、“女性”として出来ること
-今商品がいくつかあるなかで、3つくらい代表的な銘柄を挙げてもらって「これはこういう時に飲んでもらいたいお酒です」みたいなのがあれば教えていただきたいのですが。
一番良く出る「石見銀山 特別純米」が定番かなと思います。いわゆる飲みやすいタイプというよりは、味のしっかりしたタイプのお酒で、お料理と一緒に召し上がっていただきたいですね。
次にわりと上品なのは純米吟醸ですね。今年は出来が良かったです。華やかだけどお米の味はしっかりあるので、「ちょっとお土産に持っていきたい」という方にはこちらをおすすめしています。料理と併せていただいてももちろんいいのですが、やはり特別純米と比べても香りがあり、綺麗なのでお酒の味があまり分からないっていうのはあります。
後は『特別本醸造』がお冷にしてもするする飲めるタイプです。燗酒にしていただいて普段飲む分にもいいかと。万能なお酒だと思います。
-ありがとうございます。純米大吟醸のお話と、「薔薇姫」についてもイメージや飲むシーンについて話していただけると嬉しいです。
純米大吟醸は今年特にどっしりしたお酒になったので、あのお酒を単体で出すことは最初考えてなかったです。品評会に出して上位に入るようなお酒ではなくて、良く言えば味があってしっかり旨味を感じられるのですが、悪く言えば重たくて、一般的な大吟醸とは違うかなと。特に純米大吟醸に関しては。
-ということは純米大吟醸だけど、食前というよりはお肉や脂身の多い魚と合わせたらより戦えるかなと。
そうですね。薔薇姫に関してはつくり方自体がちょっと違います。もともと原酒が8~9度くらいなんですけど、もろみの日数自体も他のお酒に比べてすごく短く済みます。酸味がすごく強くて、だけど甘みもある。そのバランスを高いところでとっていて、ジュースのようなというか、本当に飲みやすいです。
そのお酒に薔薇姫の場合は薔薇の花弁を漬け込んで色と香りを出しているんですけど、その薔薇を入れていないそのままのお酒も出しているんです。『天使のキッス』というんですけど、それを基にして薔薇の場合は花びらを使って漬けています。
-ありがとうございます。比較的蔵は男性の職場であることが多いと思うのですが、自身が女性であることに関して、造りとかPRにおいて意識したりとか、女性ならではのこういう動きをしたいというのはありますか?
正直この世界に入るまで、女なのにこの世界に入るのがどうのこうのって言われるとは全く思ってなかったです。実際に入って造りもするようになったので余計そうなのかもしれないですけど、「女性なのにこの世界に入ったのね」って言われることが多々あってから、そういうものなのかなって気付いた程で、入るまでは特に女性であることに違和感というか、意識はしませんでしたね。ただ単純に酒蔵の跡継ぎくらいのイメージでした。 今は女性の蔵人さんのコミュニティっていうのに参加させてもらっていて、すごく感じるのは細かいところまで情報の共有をされていることです。自分の蔵の細かいところまで打ち明けて情報交換したり、SNSを使った発信なんかもすごくしていて、そこは男性の方と比べても圧倒的に多いですね。言葉で人の心をキャッチするのが女性は上手だなと思います。私もそう出来るようになったらいいなと思います。
-「お客さんの気持ちが分かる」というのは、自分に近いか近くないかというのがあると思うのですが、男女差とかじゃなくて、女性の立場としてはこういうものがあったらいいのに、今まで男目線で造ってきているからないな、というのは商品軸でありますか?男女基本的には変わらないというのも1つの答えだとは思いますが、そういう面で何か思うことはありますか?
そうですね…。今スパークリングが流行っていて、色々な種類があると思います。うちはさきほど言った薔薇姫に関してもそうなんですけど、私の考えというよりは社長の考えで、ずいぶん前からスパークリングとか低アルコールで飲みやすいお酒に力を入れていたんです。私が蔵に戻って3年で、良く「あなたが考えたの?」って言われるんですけど、私が入ったころにはほとんどもうあったんですよ。
-そうだったんですか。私も薔薇姫は戻られてから造ったのかと思ってました。
よく言われます。社長はそういう新規の顧客を得たいというのがあって、男性だから余計になのかもしれないですけど、女性の方にお酒を飲んでもらいたいという思いが凄く強い。私は普通に日本酒が好きだったので、あんまりその辺は考えてなかったんです。「普通のお酒でいいじゃないか」って。
でも実際にそういうお酒があるからこそ新しい繋がりが出来たお客さんがたくさんいらっしゃいます。普段お酒を飲まない方でも「これだったら飲める」っていうのを聞くと、こういう形で日本酒に興味を持ってくれる人もいるんだっていうのを実感した部分もこれまであったので。日本酒を好きな方だけでなく、そういう方たちにも導入になるようなお酒をこれから色々考えていきたいなとは思います。
知ってもらい、心に残る酒造りを

-ワインを意識することはありますか?魅せ方とか、ヴィンテージとか、テロワールとか、色んなコンテンツがあると思うのですが
ヴィンテージに関しては出来たら面白いなというのはすごくあるんですけど、何年も何年も冷蔵庫の一角をずっと出ないお酒があるっていうのは、場所も小さくてコンテナも大きくないので、現実として難しいかなと思います。何本かだけでも10年とか置けたら面白いなとは思いますが。熟成したお酒は好きなのでいつかやってみたいと思います。ワインやビールは好きですけど、特に日本酒と意識してきたことはあまりないですね。
-海外展開については特に力を入れていく部分などはありますか?
今商談にいっても海外進出の話は圧倒的に増えていて、少量ですけど輸出しているところはアジアにもヨーロッパにもあるにはあります。上海の方にも行く話が出ていますね。 私個人としてはヨーロッパが好きなので、いつかは出来たらいいなと思います。島根県でも輸出がすごく主になっている蔵はあるみたいですが、うちはあまり大きな蔵ではないので、一蔵で輸出用のコンテナどーんというのは無理な話だとは思います。
-島根で250石というのは小規模な部類に入るんですか?
ですね。小規模だと思います。
-ありがとうございます。最後に、将来の蔵の目指す姿と、自分の目指す姿をそれぞれお願いします。
蔵としてはまず、今は石見銀山をメインブランドでやってますけど、知名度自体まだ低いですし、石見銀山という名前自体がネックっていう酒屋さんも結構いて、地元で売るにはいいのですが、東京でそんな名前で売るのはなかなか難しいっていうことは良く言われます。
どういうブランド名でいくかは分からないですけど、何かあったときにぱっと「ここに行くからこのお酒買っていこう」って、どこか片隅の方にでもうちのメインブランドのお酒が忘れ去られずにいたらいいなと思います。 個人的には、私みたいな人間がいるんだっていうことを一人でも多くの方に知ってもらいたいです。それが宣伝にも繋がりますし、重要なところだなと思います。お酒も自分自身も知ってもらわないことには始まらないので。頑張っていけたらいいなと。
-仰る通りですね。応援しています。 改めて本日はありがとうございました。
ありがとうございました。
浅野様、貴重なお話ありがとうございました。